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鉄道向けの表示物に必要な認証「車材燃試」とは

更新日:5月29日



当社で扱っている工業向けラベル製品は、航空、鉄道、その他工業分野など多様な場所で使用されております。

ひとえにラベルといっても一般的なイメージのシールラベルとは異なり、使用される分野ごとに厳しい品質基準、要求事項があり、その基準ごとに対応したラベル、銘板を製造し、お納めしております。

今回はその業界基準の一つ、鉄道業界の車両向け材料の認証規格である車材燃試について解説いたします。



   目次   



車材燃試とは

鉄道業界では鉄道車両用材料燃焼試験、通称車材燃試という規格を要求されます。

この規格は鉄道の火災対策として旅客車で使用する非金属材料に適用され、「旅客車の車体は、予想される火災の発生及び延焼を防ぐことができる構造及び材質でなければならない」と規定されています。

現在車材燃試は非常に厳格に運用されていますが、これは2003年の大邱地下鉄放火事件の影響を大きく受けています。

日本でも2000年代以前は床下機器の発火やマッチ等での放火を想定した基準になっていましたが、2003年の事件を受けガソリンなどを使用した大火源火災にも対応しうる規格に変更されました。


参考記事(外部リンク)


燃焼性

使用の可否

不燃性

合格

極難燃性

合格 ※部品により使用可能な燃焼性が異なる

難燃性

合格 ※部品により使用可能な燃焼性が異なる

緩燃性

不合格

可燃性

不合格


防火性能については可燃~不燃までの5段階にランク分けされており、基本的に可燃、緩燃性の部品については鉄道車両用の材料には使用できません。

車材燃試は「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の第83条の定めに従って行い、交付される試験成績書は公文書に準ずる厳格な取り扱いが求められています。不正行為が行われた場合には措置が取られることもあり注意が必要です。


参考(外部リンク)



車材燃試が要求される場面とは

旅客車で使用する非金属材料や旅客車の客室天井部分の材料は指定の燃焼性を満たしている必要があります。鉄道車両用材料は事前に車材燃試を受験し、合格した仕様で設計、製作します。

鉄道車両用材料というと、車両自体に組み込まれている構成物が想像されますが、車内案内表示などのマーキング製品についても同じ基準での防火性が求められます。

そのため鉄道車両向けにラベル、銘版などの表示物を製造する際は車材燃試を取得した構成の材料を使用します。



車材燃試の取得方法


鉄道車両用の部品では取得が必須な「車材燃試」ですが、いったいどのような試験なのでしょうか。

車材燃試を実施している一般社団法人日本鉄道車両機械技術協会のサイトでは、試験方法は以下の通りと紹介されています。


”B5判の供試材(182mm×257mm)を45°傾斜に保持し、燃料容器の底の中心が、供試材の下面(燃焼面)中心の垂直下方25.4mm(1インチ)のところにくるように、コルクのような熱伝導率の低い材質の台にのせ、純エチルアルコール0.5ccを入れて着火し、燃料が燃え尽きるまで放置する。

 燃焼判定は、アルコールの燃焼中と燃焼後とに分けて、燃焼中は供試材への着火、着炎、発煙状態、炎の状態等を観察し、燃焼後は、残炎、残じん、炭化、変形状態を調査する。

 供試体の試験前処理は、吸湿性の材料の場合、所定寸法に仕上げたものを通気性のある室内で直射日光を避け床面から1m以上離し、5日以上経過させる。試験室内の条件は

 温度:15℃~30℃

 湿度:60%~75%

で空気の流動はない状態とする。


引用


また試験片は製品の材料によって「材料単体」「複合材料」「材料+基材」に分かれ、求められる寸法、組み合わせにて、試験を依頼する必要があります。

車材燃試は省令に基づいて実施し、燃焼ランクを判定されます。

試験が終了次第、依頼者の希望に応じて燃焼ランクを記した燃焼性試験成績書が発行され、成績書はその仕様の燃焼性を示す公文書の役割を発揮します。


鉄道車両用材料燃焼性試験成績書

当社で取得した鉄道車両用材料燃焼性試験成績書



鉄道車両用内装、外装の表示物の手配でお悩みの際はご相談ください

車材燃試は国に定められた規格であるため、試験の際の提出物や試験片の仕様、成績書の取り扱いが厳密に定められております。

「鉄道車両用部品に貼付するラベルを作成したい」「基準に適合した仕様で車内表示物を製作したい」といったお困りごとはぜひ当社にご相談ください。

お客様のニーズをヒアリングした上で最適な仕様、印刷方法をご提案いたしますほか、実績のないケースの場合、新仕様での試験受験も並走してサポートいたします。


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