印刷の透過を防ぐ白インクの役割とは
- 奈海 松原
- 1 日前
- 読了時間: 4分

透明なお菓子の袋や野菜のクリアパッケージ表面に描かれたキャラクターやブランドロゴを袋の裏面から見ると、なぜか白色で塗りつぶされていることに気が付いた……。そんなご経験はおありではないでしょうか。
絵柄の下の白色印刷は、透明素材に印刷する場合だけではなく、メタリックカラーや濃色に印刷する場合にも採用されることがあります。
では、なぜ絵柄の印刷で隠れてしまう位置にわざわざ白色一色で印刷をするのでしょうか。
印刷の透過を防ぐ白インクとは
白押さえは、白打ちや白インク、白引き、白版とも呼ばれることもあり、透明や濃色の材料に印刷する際に欠かせない技術です。
白押さえとは、透明や濃色の材料に印刷する際に、まず印刷するデザイン部に事前に白色を印刷し、その上から絵柄を印刷する方法です。これにより、絵柄が材料の色に影響されず、鮮やかに発色します。
例えば、透明なアクリル板にあるデザインを印刷する場合、白押さえがないとカラーインクが透けてしまい、デザインがぼやけたり、見づらかったりといった現象が発生することがあります 。そこで白押さえを施すことで、デザインがくっきりと浮かび上がり、視認性が向上します。
白押さえをしないとどうなるか
印刷に使用されるインクは、溶媒・着色剤・助剤で構成されており、極端に表現すると透明な溶媒(水や溶剤など)の中に色素(着色剤)の粒子が点在している状態です。そのため、印刷しても材料色が隠蔽されず透過して見えます。
インクの透過性は白色の材料に印刷する場合にはさほど影響がありませんが、透明や濃色などの材料に印刷する際には材料色が透けて見えてしまうため、透明材料の場合はデザインや色が薄く見えてしまう、濃色材料の場合はインクと材料の色が混ざりくすんだり色が沈んで見えてしまうといった現象が発生します。
そういった材料に印刷する場合に色鮮やかに表現するために白押さえが採用されます。
白押さえの応用
白押さえは材料色の影響を受けずに鮮やかな発色させることが主な目的ですが、あえて一部または全体を白押さえしないことで材料色の風合いを生かすことも可能です。
透明な材料に印刷をする際、たとえばステンドガラスやシャボン玉、水滴などのデザイン部にはあえて白押さえをせず、周囲の枠のみに白押さえを施すことで、くっきりした部分と透けた部分を混在させることができ、デザインに奥行きを出すことができます。
ほかにも、銀色の材料に白押さえをせずに印刷することで、金色やカラーメタリックを再現することもできます。
白押さえの注意点
白押さえを採用する際には、基本的に絵柄印刷用デザインデータのほかに白押さえの印刷用データを用意する必要があります。
また、白押さえは基本的に印刷を鮮やかに発色させる意図で採用され、完成時には表出しないものであるため、絵柄の印刷に対して白押さえがはみ出てしまわないように、デザインデータよりもやや小さく作成する必要があります。
この一工夫をすることで、印刷時に多少のずれが発生しても白インクが表に出てしまうことを防ぐことができます。
また、細い線や小さな文字には白押さえを使用しない方が良い場合もあります 。これは印刷のずれが目立ちやすく、意匠性を損なう可能性があるためです 。
なお、当社の場合は、製品の仕様やご使用環境、材料の性質に応じて白押さえをご提案しますほか、当社にて白押さえデータを作成いたしますが、発注先企業によっては注文者がデザインデータ・白押さえ印刷用データを事前に準備する必要があるため、注意が必要です。
まとめ
白押さえはデザインを鮮やかに表現するために欠かせない技術です。データ作成時のサイズや白押さえの採用箇所には注意が必要ですが、使いこなすことで思いのままデザインを印刷することができます。
山王テクノアーツではデザインのご提案はもちろんのこと、お客様の様々なご要望に応じた表示物を製作可能です。予算や耐久性、色の制限など、こだわりのステッカー製作をご検討の際は、ぜひ当社にお任せください。
