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塩ビフィルム2つの製法~キャストとカレンダー~

更新日:7月10日



当社でお取り扱いしているカッティングシートや印刷を施したステッカー製品の多くは

ポリ塩化ビニール(PVC、塩ビ)を原料としたフィルム材料を使用しています。

塩ビの原材料は固形で、フィルム状に加工する際には粒上のものを加工して製造しますが、その工法は大きく分けて2種類あります。

今回は塩ビフィルムの特徴とその加工法についてお伝えしていきます。


 

塩ビフィルムの特徴


塩ビフィルムの特徴は製造時の加工のしやすさや、使用時の柔軟性、耐久性の高さなどが挙げられます。

加えて自己消火性も高いため、厳しい防炎性能が求められる場面でも多く使用されています。

当社で取り扱っております鉄道系の内装、外装のマーキングフィルムは安全上の理由で厳しい燃焼試験をパスすることが必要なため塩ビ素材のフィルムが多く採用されています。

 

参考記事


また、廃棄焼却時の条件によっては有害な物質が発生するということがあり、他の原材料への転換の機運が高まった時期もありましたが、廃棄処理技術の発達によりこの問題も落ち着きを見せています。

 

参考ブログ



  塩ビフィルムの製造方法



塩ビフィルムの製造方法にはキャスト製法とカレンダー製法の2種類があります。

それぞれの特徴を説明します。

 

キャスト製法

粒状の原料に可塑剤と呼ばれる溶剤を大量に加え液状にします。

液状化したものを装置にセットされた特殊なフィルムに均一に薄く延ばし、熱風の乾燥ユニットを通過させることで添加した可塑剤を揮発させると固形化し、薄いフィルムが生成されます。

液状化したものを平らに延ばしたあと成分を飛ばし乾燥、固形化するという点は、手すきの和紙の製造工程と共通する部分もあるかもしれません。



この製法は後述のカレンダー製法と比較して膜厚の薄いフィルム生産を得意としています。

またフィルムの作成工程で圧力をかけないため、寸法安定性に優れています。

一方で量産には不向きであったり、フィルム幅などに制限があるなどの特徴があります。

どちらかというと高品質であるが高コストな製法とも言えます。

 

基本的には耐久性など、高スペックな機能が要求される場面で採用されることが多くカーラッピングなど、長期間外観の維持が必要で、収縮などを嫌う場面で採用されます。

 

カレンダー製法

カレンダー製法でもキャスト製法と同様に粒状の原料に可塑剤を少量加え、やわらかい固形の塊の状態に加工、その材料を複数のローラーの間を通し、薄く引き伸ばすことでフィルムが成形されます。

柔らかい「タネ」を引き延ばすという点ではパン生地などを薄く引き伸ばすパイローラーなどを想像するとイメージしやすいかもしれません。

キャスト製法と比較して低コストで、幅の広いシートの製造や、量産を得意としていますが、膜厚の薄いフィルムの製造に不向きであったり、成型時に圧力がかかるため経時変化によりフィルムが収縮することがあります。

近年ではカレンダー製法の技術の進歩もあり、上記のデメリットに対し品質が向上したものも登場しています。

 

こちらの製法の材料は比較的安価であることから広告などの短期的な表示に使用されることが多くなっています。


 

  用途に応じて適切な材料選定を



材料メーカーのカタログやwebサイトでは、用途に応じてカレンダー、キャストそれぞれの製法で作られた材料が掲載されています。

ラインナップを眺めてみると品種は多岐にわたり選定には頭を悩ませることもあるかと思います。

そのような際にはぜひ山王テクノアーツにご相談いただければ幸いです。

設置場所やご希望の耐用年数、ご予算など、細かな部分までヒアリングし最適な仕様をご提案させていただきます。

また、現状設置している表示物に剥がれや退色など、課題をお持ちの場合も解決のお手伝いをいたしますのでお気軽にご相談ください!

 



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