世の中には同義語があふれていますが、印刷加工の業界で用いられる用語にも同じ意味だが異なる言いまわしで表現される言葉が多数存在します。
同じ仕上がりの加工方法を指すのに手配先によって呼び方が異なり困ってしまった、そんなご経験はございませんでしょうか。
今回は印刷用語の中でも特に同義語が多く企業によって呼び方が異なる、抜き加工の種類についてご紹介いたします。
抜き加工とは
成型加工の一種で、印刷物を特定の形に形状加工する工程を抜き加工と呼びます。
たとえば型抜きクッキーを作る場合に、綿棒でのばした生地をクッキー型でくりぬいたり包丁で任意の形状に切り取ったりする工程があるかと思いますが、ステッカー製作でも同様に、製品寸法よりも大きく切り取られた材料(基材)に印刷を施したあと、製品の形状にあわせて加工する(切り抜き、打ち抜き)工程があります。
当社では製品の仕様等条件により、複数の選択肢から最適な方法を選んで抜き加工を行います。
もっと詳細に当社設備を知りたい場合は…
参考記事
ステッカーの仕上がり外観は大きく分けて2種類
ステッカーを頭に思い浮かべたとき、想像上のステッカーの台紙(剝離紙)はどのような状態でしょうか。
ステッカーの外形で台紙もくりぬかれた、台紙とステッカーのサイズが同じ状態でしょうか?それとも台紙1シートに1枚~複数枚ステッカーがついている状態でしょうか?
印刷方法や加工方法などステッカーの分類基準はいくつかありますが、抜き加工の種類の違いで分けるとすると2種類に分けられます。
その加工方法とは、台紙ごとステッカーの形状に製品の形状にあわせて加工する(切り抜き、打ち抜き)「ダイカット」加工と、台紙を残したままステッカー(材料)部分にのみ刃を入れる「キスカット」加工です。ダイカットもキスカットも、どちらもコンマ数ミリの薄い材料にアプローチする世界であり、オペレーターが繊細な調整をして対応しています。
ダイカットとキスカットという加工にはそれぞれ別の呼び方もあり、仕様決定の際に
混乱を招く原因になることもあります……。
次項ではそれぞれの加工の呼び名について、各加工の詳細とともにご紹介いたします。
ダイカットとは
ダイカットとは、台紙ごと特定の形に切り抜く方法を指します。
抜く形状は様々で、円や四角のほか星や不定形といった変形にも対応可能です。
印刷加工会社により、フルカット・全抜き・D/Cといった名称で呼ばれることもあります。
身近な例ですと、ファンシーグッズなどで見かける1枚ずつ絵柄に沿ってカットされたフレークシールはダイカットステッカーの一種です。
ダイカットで製作すると、台紙の余白がなくステッカーの形状がそのまま外形になるため、より目立つ個性的なステッカーに仕上がります。
そのため例えばノベルティグッズにダイカットを採用すると、特徴的なシルエットが目を引く一味違った仕上がりのステッカーとなり、ブランドのアピールにもつながります。
昨今ではスマートフォンのケースに好きなブランドやキャラクターのステッカーを挟み込むカスタム方法が流行していますが、そのような場合にダイカットステッカーは視覚的に目立ち、推しのアピールに一役買ってくれることでしょう。
キスカットとは
キスカットとは、材料だけを特定の形に切り抜き、台紙を残す方法を指します。
ダイカットと同様、円や四角のほか変形に抜くことができますが、台紙の余白はそのまま残った形での仕上がりとなります。
ハーフカット・半抜き・K/Cと呼ばれることもあります。
身近な例ですと、一枚の台紙に複数枚がついているようなファンシーシールはキスカット加工で仕上げられたシールの一種です。
キスカットで製作すると、1枚の台紙に複数枚ステッカーを付けることができます(面付と呼ばれます)。また、台紙が余白として残っていることでステッカーが剥がしやすいといったメリットもあります。
そのため例えばパッケージ用ステッカーなど、1つの台紙に任意の枚数を貼り付けて1セットとして製作することで、ステッカーの数を数えやすくし残数確認の手間を減らすこともできます。
他にも、印刷はお客様のラベルプリンターで行う場合に、無地のラベルに形状加工したものを製造するケースもあります。
この場合はキスカット加工を行い、ロール状でお納めしております。
参考記事
以上、ステッカーの抜き加工の2種類の仕上がりについてお伝えしました。
抜き加工一つをとっても、様々な呼び方があることがお分かりいただけたかと思います。
手配先選定の際の参考にしていただけましたら幸いです。
当社ではお客様のご希望をヒアリングのうえ、最適な加工方法、仕様をご提案いたします。
「従来仕様のステッカーのここに困っている」「新しいステッカーを製作したいが困っている点がある」などお気軽にご相談いただけましたら幸いです。