航空宇宙産業向けマネジメントシステム   EN9100とは?

更新日:3月30日



EN9100とは


マネジメントシステムという言葉を聞いて何を思い浮かべますか?

今日現在世界には様々なマネジメントシステム認証が存在しています。

その中でも世界的な国際基準であるISO認証には、環境、品質、情報セキュリティなど数多くの認証があり、企業活動を行う上でもはや取得は必須といってもよいものもあります。


各分野における業務を最適な形でするために標準化されたフレームワークであるマネジメントシステム。

その中でも今回は山王テクノアーツで取得しているEN9100という認証をご紹介いたします。


EN 9100とは,一般的な品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001に、航空・宇宙・防衛分野の産業特有の要求事項を取り入れたほか、顧客固有の契約要求や適用される法令・規則上の要求事項も品質要求としてマネジメントシステムに組み込んで取扱うよう、航空宇宙製品の機能・性能及び安全性確保などの国際的な航空宇宙業界特有の要求事項を追加したものです。


つまりは品質マネジメントシステム(ISO9001)に航空宇宙関係の製品に必要な基準を加えたものということになります。

同じ様式・内容のマネジメントシステムで、日本のJIS Q 9100、米国のAS9100がありますが、それぞれに相互認証されているので同等のものと認められています。





航空宇宙産業特有の要求事項


ところで、航空・宇宙・防衛分野の産業特有の要求事項とはいったいどのようなものなのでしょうか。


航空宇宙・防衛産業における顧客および規制要求事項を一貫して満たす製品・サービスの提供を目的として、


・運用リスクマネジメント

・形態管理(コンフィギュレーションマネジメント)

・製品安全

・模倣品の防止

・設備、治工具およびソフトウェアプログラムの管理

・特殊工程の妥当性確認及び管理

・製造工程の検証


※各項目の詳細は記事下部に記載しております


これらの要素が+αの要求事項として追加されており、認証取得の際の審査にはISO9001の要求に加え、これらの項目に適合することが必要です。




マネジメントシステム認証は信頼の証


一般的にマネジメントシステムを取得すると各分野(環境、品質、セキュリティーなど)においてある一定の基準を満たしている、という証明になり、他社との差別化が図れるため企業活動が有利に進められる、というメリットがあります。

そのため近年では取得を進める企業が増えてきています。

また、業界によっては取引する際の条件として、特定のマネジメントシステム認証を取得していることを必須要件とする企業もあります。

航空宇宙産業もそのうちの一つで、Boeing社、Airbus社など多くの航空機メーカーは各部品を調達する一次協力会社にはEN/AS/JIS Q 9100の取得を契約の際の必須条件として盛り込んでいます。

この動きは一次協力会社から委託を受ける二次、三次の協力会社まで広まる動きを見せており、将来的には航空機製造にかかわる事業者すべて、つまりはサプライチェーン全体で取得していることが当たり前、という状況になることが予想されます。

このようにかかわる事業者すべてがEN/AS/JIS Q 9100のマネジメントシステムの運用下で事業を行うようになれば、他の産業と比較しても段違いの品質、安全性を求められる航空機製造業界に対する安心感、信頼感はさらに増すことになります。

しかし中小の事業者にとってはこの認証を取得することは非常にハードルが高いというのが現状で、今後どのように取得企業を増やしていくかという課題は解決しなければなりません。



取得企業で手配すると仕入れ側にはどんな利益があるのか


前項でも書いた通り、1次協力会社はこの認証の取得が必須となっていることが多いですが、それ以降の2次3時の協力会社に関しては今のところ必須要件とはなっておらず、仕入れ事業者(1次協力会社)の品質、調達の基準での選定が行われます。

もちろん2次協力会社に製造委託をする部品製品も航空宇宙の求められる品質基準に適合が必要ですので、時には委託先への様々な協力依頼、指導、など細かな監視が必要になり、委託元担当者に思わぬ負担がかかることもあるようです。

山王テクノアーツでも、EN9100認証を取得するまでに長年お客様より様々なご指導をいただきながら、航空宇宙産業の基準に応えるべく研鑽に努めてまいりました。

このように、厳しい要求事項のある航空機製造の取引には製造委託元、委託先双方で様々な確認、コミュニケーションが必要になり、その確認を怠ると、重大な品質問題につながってしまうことになります。


そのような問題が発生する懸念を解消するための一助になるのが、EN/AS/JIS Q 9100のマネジメントシステム認証になります。

今までの説明のとおり、この認証は航空宇宙防衛分野の品質に関する要求に対応している、という証明になりますので、EN/AS/JIS Q 9100認証取得企業を委託先に選定すれば、おのずと様々な要求に応られる環境が整っている状態で、製造を委託できるということになります。

双方にとってマネジメントシステムという「共通言語」で話が進められることは、想像以上に効率の向上が実感できます。




山王テクノアーツでは先駆けてEN9100を取得


航空宇宙業界向けにプラカード製品やデカール製品を製造供給している山王テクノアーツでは、既存のお取引業者様、まだ見ぬ未来のお客様に安心して製造を委託していただくことを目的に、また未来の航空宇宙業界の状況に対応するために、2016年にEN9100を取得いたしました。

取得後も3年毎に行われる更新審査にも適合、日々要求される品質基準を遵守しながら、業務を進めております。

航空機の内装(PLACARD、DECAL)外装(DECAL)の表示物の製造委託先を選定中のお客様がいらっしゃいましたら、ぜひご相談いただけますと幸いです。




参考

航空宇宙業界要求事項の詳細


・運用リスクマネジメント

組織は、適用される要求事項の達成に向けた運用リスクを管理するため、組織並びに製品及びサービスに応じて適切に、次の事項を含むプロセスを計画し、実施し、管理しなければならない。

a) 運用リスクマネジメントのための責任の割当て

b) リスクアセスメント基準(例えば、発生確率、影響の程度、リスクの受容)の決定

c) 運用(箇条8)を通してリスクの特定、アセスメント及びコミュニケーション

d) 決定したリスク受容基準を超えるリスクを軽減する処置の特定、実施及び管理

e) 軽減処置を実施した後の残留リスクの受容



・形態管理(コンフィギュレーションマネジメント)

組織は、製品ライフサイクルを通じて、物理的及び機能的属性の識別及び管理を確実にするため、組織並びに製品及びサービスに応じて適切に、形態管理のプロセスを計画し、実施し、管理しなければならない。このプロセスは、次の事項を実施しなければならない。

a) 識別された変更の実施を含む、製品識別及び要求事項へのトレーサビリティを管理する。

b) 文書化した情報(例えば、要求事項、設計、検証、妥当性確認及び合否判定に関わる文書類)が、製

    品及びサービスの実際の属性に整合していることを確実にする。


・製品安全

組織は、組織及び製品に応じて適切に、製品ライフサイクル全体で製品安全を保証するために必要なプロセスを計画し、実施し、管理しなければならない。

注記 これらのプロセスの例は、次の事項を含む。

― ハザード(hazards)の評価及び関連するリスクのマネジメント

― 安全クリティカルアイテムの管理

― 製品安全に影響を与える発生した事象の分析及び報告

― これらの事象の伝達及び人々の訓練


・模倣品の防止

組織は、組織及び製品に応じて適切に、模倣品又は模倣品の疑いのある製品の使用、及びそれらが顧客へ納入する製品に混入することを防止するプロセスを、計画し、実施し、管理しなければならない。


 注記 模倣品防止プロセスは次の事項を考慮することが望ましい。

  ― 該当する人々への模倣品の認識及び防止の訓練

  ― 部品の旧式化・枯渇(obsolescence)の監視プログラムの適用

  ― 正規製造業者若しくは承認された製造業者、承認された販売業者又は他の承認された提供元より外部

    提供される製品を取得するための管理

  ― 正規製造業者又は承認された製造業者に部品及びコンポーネントのトレーサビリティを保証するため

    の要求事項

  ― 模倣品を検出するための検証及び試験方法

  ― 外部情報源からの模倣品報告の監視

  ― 模倣品の疑いのある製品又は検出された模倣品の隔離及び報告


・設備、治工具およびソフトウェアプログラムの管理

製造工程を自動化、管理、監視又は測定するために使用される設備、治工具及びソフトウェアプログラムは、製造への最終リリース前に妥当性確認を行い、維持しなければならない。

保管中の製造設備又は治工具に対して、必要となる定期的な保存処置及び状態の点検を含む保管要求事項を定めなければならない


・特殊工程の妥当性確認及び管理

結果として生じるアウトプットが、それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な場合のプロセスに対して、組織は、これらのプロセスについて、次の事項のうち該当するものについては、必ず、含めた手続を確立しなければならない。

a) プロセスのレビュー及び承認のための基準の決定

b) 承認を維持するための条件の明確化

c) 施設及び設備の承認

d) 人々の適格性認定

e) プロセスの実施及び監視に対する所定の方法及び手順の適用

f) 保持すべき文書化した情報に対する要求事項


・製造工程の検証

組織は、その製造工程によって、要求事項を満たす製品を製造できることを確実にするため、製造工程の検証活動を実施しなければならない。


注記 これらの活動には、リスクアセスメント、生産能力(capacity)調査、製造能力(capability)調査及       び管理計画が含まれ得る。


組織は、その製造工程、製造文書及び治工具によって、要求事項を満たす部品及び組立品を製造できることを検証するため、新規の部品又は組立品の初回製造からの代表品を使用しなければならない。この活動は、初回の結果を無効にする変更(例えば、設計の変更、製造工程の変更、治工具の変更)が生じたとき、繰り返されなければならない。


注記 この活動は、初回製品検査(FAI)と呼ばれる。

   組織は、製造工程検証の結果に関する文書化した情報を保持しなければならない。


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