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少量は割高になるのはなぜ?印刷物の価格のしくみ

更新日:5 日前



小ロットは高い!

「ご注文の最低数量は1000枚からになります。それ以下の数量でも製造可能ですが総額はほぼ同じ価格になります!!」

日々ラベルシールの購買、調達をされている方は印刷会社などの調達先からこのようなフレーズをよく聞かされることがあるのではないでしょうか。


「必要数量は200枚なんだけど…在庫も抱えることもできないし…割高で購入するわけにもいかない…」というように悩みの種になっているかと存じます。

少量でもそれなりの価格で作ることのできるデジタル印刷も選択肢には入りますが、性能が向上してきている今現在でも、求められる機能や仕様によっては何かと制限もあることもしばしば…。

従来の印刷方式を採用しようとすると、小ロット、いわゆる少ない数量での発注は1枚あたりなかなかの金額になってしまいます。


コストもかけられず、限られた予算の中でのラベル資材調達は困難を極めます…。

今回の記事ではそんなお悩みに関して、最低発注数量(最低ロットの)についての考え方、必要な数量を適切な価格で購入するためのアイデアなどをお伝えしていこうと思います。

そもそもなぜ少量の印刷だと金額が割高になるのでしょうか。

それは印刷物の製造における、コストの内訳を確認することで見えてきます。



 目次 

割高になるその原因とは…


コストを下げるために



割高になるその原因とは…


コストその1 段取り費

製造する数量にかかわらず、どのような印刷物でも製造を行う際には機械の調整、印刷版やインク、材料の運搬、設置、試刷りなどの準備作業、いわゆる段取り作業というものが発生します。


材料や印刷版を機械に設置、動かしながら試刷りを行い、準備が完了したら本番の印刷作業、終了したら後片付け、といった具合にラベル製品の印刷作業は行われていきます。

本番の印刷前後の作業はそれぞれ前段取り、後段取りなどと呼ばれています。

先ほどもお伝えしたように、この前後の段取りは印刷する数量にかかわらず同じ時間を要する作業となり、この作業分のコストは生産する製品に含まれることとなります。


例えば段取り費を1000円と仮定すると、1枚の時は1枚当たり段取り費1000円、1000枚の時は段取り費1枚当たり1円となり大きな違いが生まれます。

このことから、数量の少ない場合、ラベル1枚あたりに単価に占める段取り費の割合が非常に大きくなってしまいます。


単純に材料費が1枚0.1円と考えると


1枚の場合(段取り費1000円+材料費0.1円=1000.1円)

1000枚の場合(段取り費1000円+(材料費0.1円×1000枚)=1100円)


このように1枚と1000枚ので準備コストを含めた総額はさほど変わらないのです。

※これ以外にも他の要素(本作業のオペレーターコストなど)を考えるとややこしくなるのでここでは割愛します。


この段取り作業コストの考え方については、Uberなどのデリバリーサービスを思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれません。

こちらを利用する際オーダーの金額の大小にかかわらず配達料が基本的には均一でかかるので、注文金額が少ないと配送料が占める割合が多くなり、思ったより高いなと感じることもあるかと思います。

このように1注文につき定額で発生する費用があるということは共通点があります。


コストその2 材料使用量

印刷業界だけでなく製造業全体に言えることですが、材料在庫を抱えすぎると様々な問題の要因になるため、使用頻度の高い材料以外は原則過剰に在庫せず、必要になったタイミングで都度材料メーカーや販売店から購入して生産を行っています。

近年では世界情勢などによる納期遅延のリスクを避けるためにある程度ご注文を見越して材料を在庫しておく動きもありますが、体力のない中小企業では中々難しい部分があります…。

また、材料購入の際にも最低購入枚数(ロール状の材料であればメーター数)があり、ある程度まとまった数量の購入が必要です。


例えば一般的なシール印刷機で刷られる材料であれば、購入単位は200mや400mのロール材になります。

こちらを印刷機にセットして印刷するわけですが、印刷を安定させるまでのセッティングや試運転の際にそれなりの量の材料を使用します(ここで発生する廃棄分をヤレ、原紙ロスと言ったりします)。



こちらが調整の際にでた「ヤレ」


多色刷りの場合などは調整にかなりの量を使用することもあります。

こちらの調整に使う材料のコストもお納めするラベルの価格に含まれますので、前項と同様に必要枚数が少ないと調整分の材料代が1枚当たりの金額に振り分けられるため価格が高くなってしまう要因となります。

主にこの2つの要因で、少数量でのご注文は割高になってしまいます。

しかしだからと言って無駄に数量を多く発注することも難しいと思います。

どのようにすれば少しでもコストを下げ、必要数量を手配することができるのでしょうか。


コストを下げるために

手配先も適材適所で

耐久性などラベルに求められる様々な機能や、印刷会社それぞれの材料在庫のラインナップや原価の計算方法などによって、提示される価格は大きく変わることもあります。

一般的にどの印刷会社も、広く使用されている材料(汎用性の高い白いシール材など)は使用頻度も高いため常備在庫としていることが多いです。


この場合は残った材料を他の製品の製造の際に使用でき、材料が短い期間で消費され回転率が良くなるため、最低発注数量に満たない少量のご注文でも比較的安価にご提供できるケースがあります。

しかし一定期間内に他のご注文で使用する可能性が見込めない特殊材料の場合、不良在庫化を防ぐためラベル原価に購入材料費すべてを含んで算出するため、割高になってしまいます。

この辺りの常備在庫材料は印刷会社ごとの得意とする製品によって違うため、特殊な材料に印刷を希望される場合は、ホームページなどでその材料を使った製品を推している印刷会社に依頼するとコストを削減できるかもしれません。


複数社への見積 セカンドオピニオン


前述の希望する材料の製品を得意とする印刷会社がうまく見つからない場合は複数社に見積もりを依頼すると相場がわかり、依頼先の選定もはかどります。


当社では、「印刷会社のセカンドオピニオン」と称し、現在お付き合いのある手配先以外に複数社見積もり、相談をすることにより、より適正な価格での手配を目指す、という方法をご提案しております。

複数社に問い合わせることによりそれぞれの得意とする製品加工方法が見え、適切な手配先を見つけることができるため、QCDすべての面で向上が期待できます。


参考記事



印刷会社に複数回注文分一括生産、在庫してもらう


一回の注文あたりの必要数量は少ないが、通年ではある程度の量のラベルの使用が決まっている場合などは、一定期間内での全数買取を約束のうえ、在庫を保有してもらい都度出荷という形を交渉、依頼することでコストを抑えつつ、必要数量を都度購入することができます。


どのような印刷方法でも、少量の場合は割高になってしまうことはやむをえない部分もあります。

しかし情報を頭に入れたうえで、ご紹介したコスト削減のアイデアを実践することでわずかながらでも費用を抑えることにつながります。



山王テクノアーツでは適正価格を測るための比較用参考見積算出、およびコスト削減、仕様見直しのお手伝いを積極的に行っております。

コスト面だけでなく、性能面におきましても課題がございましたら、ぜひ一度ご相談いただけますと幸いです。

より適正な価格で、ご満足いただけるスペックの製品をご提案させていただきます。




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