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SDGs活動の落とし穴…キーワードは「SDGsウォッシュ」

更新日:4月22日




   目次   



SDGsウォッシュとは


SDGsウォッシュ(ウォッシング)という言葉をご存じでしょうか。

一言でいうと「見せかけのSDGs対応を行っていること」で、環境、人権問題などSDGsの指針に対応していると企業のメッセージとして公表しているにもかかわらず、実態がその目標に伴っていない状況になっていることを指します。

由来は英語で粉飾やごまかしという意味のホワイトウォッシュ、という言葉とSDGsを組み合わせた造語です。

今日現在最も注目を集めている目標であると言える地球環境問題への配慮の他に人権、教育、貧困、ジェンダー問題などの17個すべての目標に対する取り組みに関して「見せかけのSDGs対応」をしてしまうともちろんSDGsウォッシュである、とみなされてしまいます。

フェアトレードとされるコーヒーを扱っているが、実はコーヒー農園では秘密裏に児童労働が行われていた。

従来より環境への負荷が少ない機械を販売しているが、使用している部材に含まれる金属が産出国の反政府組織の資金源になっていた。

など、SDGsに関して一つの目標に対してクリアしていても、他の目標にとってはマイナスな状況になっているということはあり得る話で、寄与する目標に対し、その活動の流れすべてにおいて17の目標に対してマイナスな要素がないこと、という状態が目指すべき姿となります。

一度SDGsウォッシュである、この企業のSDGsの取り組みは見せかけである、とみなされてしまうと、世間からの企業への信頼は下がり、それを回復するには労力と時間がかかってしまうことになるかと思います。

せっかく世界の未来のために貢献しようと思って始めた施策が、逆に足かせとなってしまうことは避けたいですよね。

このような事態にならないために、このSDGsという目標に対し表面的、部分的な理解でなく、全体的に理解し、取り組みを進めることが非常に重要になってきます。

そもそもSDGsとは

ここでSDGsについて改めて概要のおさらいをしたいと思います。

SDGsとは持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)のことで、2015年9月の国連サミットで採択されました。

国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成することを目指し、世界全体での未来へ向けた取り組みとして設定された17の目標のことを指します。

国内においても国を挙げた取り組みが行われており、メディアなどでも連日SDGsに関した情報が頻繁に発信されています。

17の目標


目標1

あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

目標2

飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する

目標3

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

目標4

すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

目標5

ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワメントを行う

目標6

すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

目標7

すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

目標8

包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

目標9

強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

目標10

各国内及び各国間の不平等を是正する

目標11

包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

目標12

持続可能な生産消費形態を確保する

目標13

気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

目標14

持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

目標15

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

目標16

持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法への アクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

目標17

持続可能な開発実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

以上の17の目標それぞれに合計169のターゲットがあり、さらにその下に244の具体的な指標がぶら下がっています。

ターゲットと指標についての詳細は下記の総務省の資料にて説明されています。

総務省資料(外部リンク)

この目標達成に向けた活動において、目標から指標までのすべてを把握して行動することはとても難しい話ではありますが、人、モノ、環境など地球上に存在するすべての要素において、施策を実行する際にネガティブな状態になっている要素が発生しないかしっかりと確認する、というようなイメージを組織全体で共有しながら進めていくことが重要なことになりそうです。


これからはサプライチェーン全体の把握が必要に


これまでの記述の通り、一つの目標を達成するために、別の目標がないがしろにされている状態は「SDGsウォッシュ」になってしまいます。

ある企業は環境に良くコストパフォーマンスの高い製品を作っているが、資材の購入先では、法定賃金以下、労働基準法などの法令に違反した形で従業員が働き材料が生産されていた。

このようなことは遠い海外の途上国の話ではなく、日本国内でも発生しうることでもあります。

コロナウイルスの流行以前では、外国人技能実習生が本来の目的とは違う形で労働力として酷使されていた、という事例がニュースなどで散見されました。

このように環境への負荷の軽減というところだけでなく、その実現のために人権が侵害されていないか、おいていかれている人はいないか、こちらもしっかりと確認していかなければいけません。

そのために、近年欧州ではサプライチェーン上に人権侵害リスクがないかを企業が把握し、予防や軽減策を講じる「人権デューデリジェンス」という取り組みが始まり、法制化への動きが進んでいます。

同じような取り組みを日本の大企業はすでに始めており、近い将来日本においても法制化の動きが進んでいくことが予想されます。

環境面での法令であるRohs指令、REACH規則などへの対応とともに、人権面でのサプライチェーン全体の透明性を担保できるこの仕組みが浸透していけば、世界全体での本当の意味でのSDGsへの取り組みというものが加速していきそうです。

SDGsへの取り組みを実現するためには様々な個所で目を光らせなければいけないことになります。

調達品すべてにおいて自社で把握することは限界があるかと思いますが、このような法令や仕組みなどを整え、適切に運用することにより「SDGsウォッシュ」をなくし、2030年の目標を達成した明るい未来を目指して社会全体で取り組んでいくことが望まれています。

山王テクノアーツでの取り組み

当社は製品の部材である工業用ラベルなどのサプライヤーとして、材料の調達責任を徹底して全ういたします。

含有化学物質調査書類などの速やかな提供を価格納期品質と同等に重要なサービスの一つと位置付け、ラベル基材、使用インクなどに関しての調査要求に対し速やかに対応。

ご提案の段階で懸念がある物質に対しては事前のお知らせなども積極的に行っております。

なかなかスムーズに進まないことの多い間接取引先への各種調査のご依頼も速やかに対応いたします。

また、生産管理システムの導入によりトレーサビリティーも徹底されており、問題の発生時などには速やかにロットトレースや工順、作業時期の確認などを行いしかるべきご報告をいたします。

各種含有化学物質調査のことも含め工業用ラベルに関しては下記の記事もご参照ください。

日本印刷産業連合会の環境自主基準である、グリーンプリンティング認定制度(略称:GP認定制度)も取得しておりますので貴社のSDGsへの取り組みに対し+αの付加価値をご提供できます。

「SDGsに貢献できる取り組みをしたが何か良いアイデアがほしい」といった漠然としたお悩みから

「禁止物質を使用せずに〇〇と同じスペックのラベルはないか」など具体的な課題まで、表示物のことなら何でも、一度お気軽にご相談いただけますと幸いです。



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