2023年11月7日

ラスター?ベクター?データ形式の違い

最終更新: 4月22日

ラスターデータ、ベクターデータ…もしかしたら皆様も耳にしたことがあるかもしれません。

今回は印刷物製作の際にも必要な知識であるデータ形式2種の特徴と違いについて解説します。

ラスターデータとは

1ピクセルの点が縦横と格子状に並び構成されたデータファイルをラスターデータといいます。

画像を「座標と色」で記録したものがラスタデータということもできます。この形式は「ビットマップ画像」とも呼ばれます。様々な色の点を多く並べることで複雑な画像を得意としています。また色やグラデーションなどの表現力が高い点が特徴です。

ただしピクセル(点)の数が増え画質が良くなるとその分データサイズが大きくなります。

スマートフォンのカメラで撮影した写真のデータはラスターデータですので、このデータ形式を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

写真の一部を拡大して見てみると点で構成されていることがわかります。

ラスターデータを書き出すことが出来るソフトはAdobe Photoshopなどの「ペイントソフト」です。

Webサイト上で使用するデータは主にラスターデータとなり、bmp・gif・jpg・png・tiff などの拡張子が使用されます。

ラスターデータの強みと弱み

強み

・写真など描写が複雑なデータの表示が出来る

 →点で構成されており細かい色彩表現に適しています。

・jpgやpngは多くのデバイスで表示可能

 専用のソフトウェアがなくても閲覧や編集が可能です。

弱み

・画質を落とさずに拡大したい場合、データサイズが増える

・編集を重ねると画質が落ちる可能性がある

・拡大縮小に適していない

 →サイズ変更するとずれやゆがみが生じジャギー(エッジに現れるギザギザ)が発生するため画質が悪くなります。例としてデータ形式が異なる握手のアイコンを用い、ラスターデータとベクターデータを同様に拡大した場合の見え方を図にしました。右側のアイコンにおいて線のフチが乱れて粗くギザギザに見えるのがジャギーです。

                     ↓  ↓  ↓

ベクターデータとは

位置情報を持った点であるアンカーポイントと点を結ぶ線のセグメントで構成され、数式データとして記憶し再現するデータ形式をベクターデータといいます。数式で保存しているためベクターデータのグラフィックはデータサイズも小さく、線や図形の表現力が高い特徴があります。

ベクタ形式の画像を作成出来るソフトはAdobe Illustratorなどの「ドローソフト」です。

多くの印刷物に用いられるデータは主にベクタ形式となり、pdf・svgなどの拡張子が使用されます。

ベクターデータの強みと弱み

強み

・拡大縮小に適している

 →情報を数式データとして記憶し再現しているため、サイズ変更しても画質が維持されます。

・データサイズが小さく取り扱いやすい

 →拡大してもデータサイズはほとんど変わりません。

・拡大縮小しても画質が劣化しない

弱み

・写真のような複雑な画像表現に適さない

 →数式データで表現されているので細かい描写の画像などは表現するのが難しい

・互換性が低く、画像を表示するために専用のビューアやソフトウェアが必要な場合がある

まとめ

各データ形式の使い分けについて代表的な例は以下の通りです。

【ラスターデータ】

・写真や風景などの複雑な画像。色やグラデーションなどの表現の幅が広いです。

・イラストやアートなどの細かい画像。こだわってピクセル単位で色や明るさを調整できます。

【ベクターデータ】

・ロゴやアイコン、シンボルマークなどシンプルな画像。一度作成するだけでウェブサイトから建物表示まで様々な媒体で使用でき、なおかつ画質が維持できます。

・図表やグラフなど。数値や文字を簡単に変更できるため、データの更新や修正が容易です。

ラスターデータとベクターデータにはそれぞれ特徴や強み、弱みがあります。用途や目的に合わせて適切なデータ形式を選択することが重要です。

また、それぞれのデータのメリットを生かしきれいに印刷するためには注文する印刷会社の指定のデータ形式でデータを作成し入稿することもポイントです。

山王テクノアーツでは「注文予定だが所持しているデータがラスターデータかベクターデータかわからない」などの場合もサポートいたします。お気軽にお問い合わせくださいませ。

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